地域の概況

秋田県湯沢雄勝地域は県南東部の横手盆地南端に位置し、岩手・宮城・山形の県境と接する地域です。
平成12年の農業粗生産額は195億4千万円で、作物別には米が49%、野菜22%、畜産16%、果樹8%と稲作を基幹として園芸作物や畜産等の複合的農業が県内においては比較的定着している地域です。
当雄勝酪農農業協同組合は湯沢市、雄勝町、羽後町の3市町で16戸の酪農家で組織しています。

稲WCSに取り組んだ経緯

湯沢雄勝地域の酪農は水田酪農として発展してきており、自給飼料の生産は水田転作や河川敷地利用が中心で、団地化された面積が少なく、排水不良等から牧草の生産性は必ずしも高くないため、購入飼料への依存度が高まる現状にあります。
このような中で、国内自給率向上対策として取り上げられた「稲ホールクロップサイレージ」は水田状態で自給飼料生産が可能で、転作対応として容易なことから組合員や関係機関・団体と協議を積み重ねた結果、収穫調製専用機械を導入して、酪農と耕種農家が連携した形で取り組むこととしました。

収穫調製関連機械は「飼料イネ栽培利用推進モデル事業」「地域ぐるみ稲わら等飼料生産利用対策事業」により導入し、収穫調製関連機械は「飼料イネ栽培利用推進モデル事業」「地域ぐるみ稲わら等飼料生産利用対策事業」により導入し、推進体制は「雄勝地域稲WCS推進協議会」を組織し、これを中心に作付け農家の調整や連携・指導を行っています。

 

 

平成13年度の取り組み概要

平成13年度の飼料用稲の作付けは14.2haで、耕種農家を主体に24戸で栽培管理され、酪農家は作業チームを組んで収穫調製作業を行い、1,194ロール、約358tを収穫し、酪農家12戸に配分・供給しました。

作付け品種は専用種として「ふくひびき」を5ha、他は一般種の「あきたこまち」 を中心に対応し、栽培様式は慣行の移植栽 培を基本に、一部低コスト化のため1.4haで直播栽培も実施し、管理においては家畜への給与に配慮し出穂期以降の薬剤散布を避けることや、黄熟期刈取り時の作業性を確保するため、強めの中干しと早期落水実施を申し合わせました。
収穫調製作業は、クボタ・タカキタのホールクロップ収穫機1台と自走式ラップマシン2台をセットにしたダイレクトカットによるロールベールラップ体系で、酪農家6〜7名の作業チームを編成し実施しましたが、作業期間は圃場が分散しているめ、収穫機械の移動や製品の運搬作業に手間取り、作業期間は9月6日〜24日の19日間を要しました。給与は収穫1カ月後から開始しましたが、はじめの食い付きに個体差があるものの、全般に嗜好性が良く、搾乳牛に対し1日1頭当たり原物で4〜7s程度の給与をしていますが、乳量や品質への悪影響は見られません。

WCS収穫機-作業中
製品解体作業
製品給与中

 

成果と考察

実施初年度のため、専用種の特性把握、栽培基準、収穫適期の判定、収穫機械の作業性、稲発酵粗飼料の発酵品質、
牛の嗜好性や給与基準など手探りの状態でありましたが、ある程度の判断基準と成果が得られました。

品   種:

移植栽培でのふくひびきの平均収穫量は10a当たり2.71tで、他品種の2.42tより収量性は高く、耐いもち病や耐倒伏性も高い。しかし、熟期が遅いことからあきたこまち等との組み合わせで作業体系を組み立てる必要がある。

肥培管理:

転作後地や堆きゅう肥の多量施用地では、出穂及び登熟期の遅れや黄熟期でも水分含量60%以下とならず、収量は高まるがサイレージの品質確保にむずかしい面があるため、一般栽培に準じた施肥量が適量と思われる。

作 業 性:

稲発酵粗飼料用収穫専用機1台に対し自走式ラップマシン2台体制が作業効率が高い。1日当たり作業面積は1.5ha程度であり作付け圃場の団地化や製品の搬送体制を整備することが作業性向上向上のポイントとなる。

品質確保:

材料の水分含量が発酵品質に大きく影響するため、ダイレクトカット梱包方式では収穫時期の判定が最も重要と思われる。

今後の推進方向

昨年度の経験を活かしながら本年度は次のことを重点に取り組んでいます。

栽培圃場の団地化により作業効率の向上及び低コスト化をすすめる。

作業体制に合わせた品種構成及び肥培管理により熟期調整を図る。

専用機の構造上で茎葉部と穀実部が分離してロールされ、茎葉部分での発酵品  質が劣る傾向にあるため、材料の水分管理を徹底するとともに乳酸菌に加え糖蜜等の添加剤使用を検討している。

最後に

現在取り組んでいる耕種農家と連携した稲WCS生産は、粗飼料基盤の乏しい水田酪農地帯である当地区の自給率向上に大きく寄与するものと確信しております。

更には、「安心・安全な牛乳」を消費者に届ける責任とプライドをもった生産活動を続けて行きたいと思います。

雄勝牛乳1リッター、ビン牛乳「雄湯郷」720cc、雄勝牛乳200cc